『熱帯植物園』 室井佑月
友人を待っている間にさらっと読めそうだからと手に取った。個人的に植物園が好きなので興味をひかれた。そういえば、6月の曇っている日にバスで片道30分くらいのところにある寂れた植物園へ行ってきた。薔薇は散りかけが多かったけどそちらの方が好きなので楽しかった。
好き勝手で奔放な女学生が好きなので面白かった。なんとなく金原ひとみの『蛇にピアス』のぬるい感じだなと思う。
このあいだ手相を見てもらったら「今まで曲がった道に進んだことがない」と言われたくらいの田舎の女子学生なので、過激な文が好きなのだ。
中2のころそういうものばかり読んできたのでぬるいと感じたのだと思う。
タイトルと同じ名前の小説が中編であとは短編。『熱帯植物園』が一番好きだった。最後の終わり方が好きだ。主人公は女が怖いけど女を利用していて、嘘をついた由美と同じく嘘をついたときに、女になって散っていった終わり方が少女らしい危うさに溢れている。正直、この話しかもう記憶になくて最後の『クレセント』がまあまあ好きかなぐらいなので、また読み直すとしたら『熱帯植物園』を読むためだけに借りると思う。